「論文試験は重要だよ!」
なんて話をよく聞きますが、「具体的に何が大切なのか」そして「そもそも論文試験ってなに?」って分からないですよね。
僕も数多くの論文試験を受けてきて、うまく書けた時もあれば、全く書けない時もありました。
何十回と論文試験を書いてきたからこそ、
・試験官に響きやすい文章
・最低合格ラインを超える文章
が分かってきたので、今回は初心者でも理解しやすいように全体像や対策方法などを解説してみました!
「論文試験がいまいち分からないよ」という方はぜひ!
この記事を書いた人
・ヤット(元消防士)
・政令指定都市の難関試験に合格
・社会人から公務員への転職経験あり
もくじ
公務員の論文試験の全体像
多くの公務員試験では、論文試験(正式名称は教養記述)が採用されています。
そして苦手としている受験生も多い。
だからこそ、この論文試験で試験官にアピールすることが出来れば、他の受験生に差をつけることができますよ!
まずは、論文試験とはどんなものなのか掴んでいきましょう。
試されている能力
論文試験は主に、読解力と文章構成能力を試されていると言われています。
読解力は、与えられた課題を正しく読み取ること。
文章構成能力は、自分の考えを読みやすく第三者に伝えることになります。
面接は対面でコミュニケーション能力を測りますが、論文試験は文章でコミュニケーションを測る試験になります。
出題形式
論文試験には、出題形式(出題の種類)が分かれています。
それが作文と小論文(論文)。※
※以後、論文と言う
作文の特徴
・自分のことに関することを記述する
・例えば「理想の公務員像とは?」のようなテーマ
論文の特徴
・ある問題に関する解決策や考えを記述する
・例えば「人口減少を食い止めるためにできることは?」のようなテーマ
論文試験は主に大卒区分、作文試験は高卒〜短大卒区分で採用されていますね。
ちなみに、論文試験のテーマの方が難易度が高めです。

文字数と時間制限
受験する職種によって幅があるのですが、
・文字数は、60分〜90分
・時間制限は、800〜1600字
が平均的な数値。

論文試験が出題される職種
ここでは、実際に論文試験が出題される職種を紹介します!
※1 横浜市や大阪市のように独自型を採用している都市もある
※2 独自型を採用している自治体もある
参考
国家公務員では、国税専門官などで論文試験が採用されている
また、地方公務員の試験のほとんどで論文試験が採用されており、配点も高いのが特徴。
公務員の論文試験で出題されるテーマ(課題)
公務員試験では出題されるテーマがある程度決まっています!
2大テーマ
①公務員そのものに関すること
例えば、
・理想の消防職員について、あなたの考えを述べなさい
・〇〇市職員として、必要なことは何か述べなさい
など。
②自分自身に関すること
例えば、
・あなたが過去3年間で、努力したことを述べなさい
・チームワークの重要性について、あなたの考えを述べなさい
など。
上記の内容は、面接試験でも聞かれる内容。
論文試験の対策をすることによって、面接試験にもつながりますよ!
時事的なテーマ
論文試験では、頻繁に時事的な要素を含んだテーマが出題されていますね。
ちなみによく出題されているテーマは、下記のとおり。
①少子高齢化
②男女平等参画社会
③IT関係
④AI関係
⑤労働問題
⑥地域振興
⑦災害対策
⑧国際化
⑨環境問題
この辺りですね。
職種による特徴
国家公務員では、
国全体や、国際化(グローバル)に関するテーマ
地方公務員では、
自治体が持っている問題点や、その問題に対してどんなアプローチができるかに関するテーマ
上記が、傾向としてよく出題されているテーマになります。
実際の出題例
国家一般職(2022年度)
我が国は,2020 年 10 月に,2050年までにカーボンニュートラル(*)を目指すことを宣言した。
また, 2021 年4月には,2030 年度の新たな目標として,温室効果ガスを 2013 年度から 46%削減することを 目指し,さらに 50%削減に向けて挑戦を続けるとの新たな方針を示した。
なお,世界では,120 以上 の国と地域が 2050 年までのカーボンニュートラルの実現を表明している。( *)
カーボンニュートラルとは,温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること 上記に関して,以下の資料①,②を参考にしながら,次の(1),(2)の問いに答えなさい。
(1) カーボンニュートラルに関する取組が我が国にとって必要な理由を簡潔に述べなさい。
(2) カーボンニュートラルを達成するために我が国が行うべき取組について,その課題を踏まえつ つ,あなたの考えを具体的に述べなさい。
【資料については省略】
東京特別区Ⅰ類B(2022年度)
特別区では,地方分権の進展や,児童相談所の設置に加え,新型コロナウイルス感染症対策により, 前例のない課題やニーズが生まれ,区民が期待する役割も,かつてないほど複雑で高度なものとなっ ています。
特別区がこれらの課題の解決に向けた取組を進めていくには,区民に最も身近な基礎自治体として, 自立性の高い効率的な事務運営が重要です。 このような状況を踏まえ,区民の生命や生活を守るための,限られた行政資源による区政運営につ いて,特別区の職員としてどのように取り組むべきか,あなたの考えを論じなさい。
京都市上級Ⅰ (2022年度)
最近5年間で,失敗した出来事と,その失敗に対してどのように対処したか,また,同じ失敗をしないように心がけていること。
警視庁Ⅰ類(2022年度)
最近5年間で,失敗した出来事と,その失敗に対してどのように対処したか,また,同じ失敗をしないように心がけていること。
テーマについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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公務員の論文試験の配点基準
国家公務員は配点基準を公表しており、論文試験自体の配点は低め。
逆に地方公務員では、筆記試験の中でも配点が高めに設定されています。
評価のポイント3つ
①確実な情報を参考にしているか
何か文献やデータを元にして、論文を書くと評価してもらえます。
事実と異なるようなことを書くのはNG。
「〇〇によると」などの根拠を示せれば良いかも。
可能であれば、具体的な数字などを書くことで信憑性が増しますね。
②論理的に書けているか
論文の「論」は、論理の「論」と言われています。
言い換えれば、いかに読みやすく書けているかが重要なんですよね。
そのため、文章構成に関する基礎知識も必要になってきます。
③最低限のルールを守れているか
例えば、
・マスの使い方が守れているか
・誤字脱字が無いか
などを文章のルールと呼んでいます。
この辺りは、守れていて当たり前なので間違えると試験官からも目立ってしまいますよ!
具体的な配点表
実際に公表されている配点表です。
公務員の論文試験の対策方法
論文試験対策方法は、大きく分けて2つあります。
①情報を集める
②正しく書けるようになる
順番に解説しますね!
①情報を集める(インプットする)
論文試験は通常、課題から、
①現状(背景や原因)
②課題(問題点)
③解決策
を見つけ出し、書く内容を決めていく必要があります。
ある程度、自分の中でネタ(情報のストック)が無いと書けないので、最低でも15テーマほどは書けるようになっておきましょう。
②正しく書けるようになる(読みやすく)
基本的な文章のルールを守ることが大前提ですが、もっと大切なことは文章構成です。
文章構成とは、
・起承転結
・序論→本論→結論
・結論、理由、具体例、再結論
などのことですね。
上記の流れがしっかりと守れていると、とても読みやすくなりますし、評価もされやすくなります。
書き方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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受験者が疑問に答えてみた
「何が正解で、何が不正解なのか分からない!」
そんな初心者のあなたのために、よくある疑問に答えてみました!
模範解答の暗記はあり?
基本的には、なし。
ネットで探せば「模範解答」と呼ばれている情報や、書籍が簡単に手に入ります。
だからと言って、丸暗記して試験に臨んで良いわけではありません。
例えば、論文試験の多くは「典型的だが、最新情報が散りばめられた」課題がよく出題されるのは、丸暗記対策の1つでしょう。
過度なオリジナリティや創造性は必要ありませんが、適度に自分の考えを書けるようにしておきましょう。
参考
とは言え、模範解答は最高の勉強材料です。
全てパクらず良い部分を抽出して、自分の文章に活かせるようにしてください。
どんなミスなら許される?
ミスをしないのは大前提で、誤字脱字が少しあるくらいなら、問題無いでしょう。
なぜなら、試験官が見たいのは受験生の考えや、その考えを論理的に書けるかどうか。
そのため、多少の誤字脱字であれば大目に見てもらえます。

どんなミスは減点される?
字が汚い
字の汚さは減点対象ですね。
字を美しく書蹴るかどうかは人によって様々。
しかし、丁寧に書くことは可能ですよね。
それにも関わらず、字が汚いと言うことは「字が汚くても良いや」と言う人間性であることと他なりません。
字が汚い=雑な人間
と評価されますね。
参考
試験官は、受験生が丁寧に書いてるかどうか一瞬で分かるらしいですよ。
文章構成がバラバラ
例えば「序論→本論→結論」が「本論→結論→序論」のように順番が、バラバラになっている場合ですね。
このような文章構成は非常に読みにくいので、試験官が採点途中で離脱してしまう危険性があります。
課題(テーマ)とズレた解答
Aについて聞かれているのにも関わらず「Bだと思います!」なんて答えてしまうと減点されてしまいます。
論文を書き始める前に、ゴール(解決策)を明確にしていないと、全く違う解答をしてしまうんですよね。
上記はよくあるミスですね。
この他にも、色々と減点対象や注意するべき点がありますが、挙げ始めるとキリがありません。
気になる方は、プロに添削してもらい自分の弱点を把握しましょう。
まとめ
論文試験は、多くの職種で採用されています。
そのため、しっかりとした対策は必須。
論文試験の全体像を掴み、自分にどんな対策が必要か早めの段階で把握することが重要。
しかし、他の試験科目に比べて軽く見られがちなんですよね。
だからこそ、しっかりと対策とした受験生の論文は輝いていますし、試験官の心に刺さるのです。
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