こんにちは、元公務員のヤット(@kantan-koumuin)です。
公務員試験に合格するためのノウハウを解説しています。
こんな疑問を解決できる記事になっています。
本記事の内容
- 難易度が決まる要因
- 職種別の難易度
- 具体的な対策方法
公務員試験に挑戦しようとする人は、どれくらい難しいのかが気になりますよね。
結論から言うと、難易度は人それぞれによって全く違うため一概に難しさを判断することはできません。
そして、難易度について真剣に考える必要もありません。
しかし、一般的に難しいとされている公務員試験があります。そのランキングは下記の通り。
難易度ランキング
- 国家総合職(大卒・院卒)
- 国家一般職・専門職・裁判所一般職(大卒)
- 地方上級
- 東京都Ⅰ類・東京特別区Ⅰ類
- 公安職・経験者採用・市役所
- 高卒採用試験
あくまで、試験自体の難易度であるため全ての受験生に当てはまる訳ではありません。
ただ、ある程度の難しさを知っておくことで、具体的な対策を立てることができます。
本記事では、職種別の難易度や公務員試験の難易度に対する「考え方」について解説しています。
考え方を理解すれば、必要以上に難易度を恐れることが少なくなります。
本記事を参考にしつつ、自分の志望先を決めていきましょう。
もくじ
公務員試験の難易度はどれくらい?
公務員試験の難易度は、単純に言い切れるものではありません。
よく使われる指標として倍率があります。
例えば、公務員試験の中で最も難しいとされている「国家総合職」では倍率は10倍ほどです。一方、地方の市役所の中には倍率が30倍を軽く超える試験もあります。
つまり、倍率=難易度と決めつけることはできません。
ただ、倍率は一番わかりやすい指標でもあるため、参考のために各職種の倍率を掲載しておきます。
採用予定数 | 申込者数 | 第1次試験受験者数 | 第1次試験受験者数 | 第2次試験受験者数 | 最終合格者数 | 最終倍率 | |
国家総合職(大卒) | 145 | 7,601 | 6,383 | 829 | 459 | 406 | 15.7 |
国家一般職(大卒) | 3,090 | 23,075 | 17,572 | 8,215 | 7,026 | 5,642 | 3.1 |
東京都Ⅰ類B(行政・一般方式) | 85 | 2,313 | 1,507 | 252 | 245 | 110 | 13.7 |
福岡県Ⅰ類(行政) | 47 | 571 | 386 | 94 | 非公表 | 55 | 7.0 |
大阪市(事務行政:22~25歳) | 245 | 1,924 | 1,195 | 420 | 385 | 302 | 4.0 |
特別区Ⅰ類(行政) | 874 | 11,449 | 9,019 | 4,098 | 3,006 | 1,881 | 4.8 |
※令和3年度のデータより
※スマホの場合は、左右にスクロールすることができます
難易度が決まる4つの要因
公務員試験の難易度には、4つの要素が深く関係しています。
本章では、難易度が決まる要素を簡単に解説していきます。
難易度が決まる要素
- 出題範囲
- 採用人数
- 筆記試験の難易度
- 周りの受験者のレベル
出題範囲
公務員試験は、一部の採用試験を除き広範囲の科目から出題されます。
- 筆記試験
- 面接試験
- 体力試験(公安職のみ)
特に筆記試験は、公務員試験の最初の関門であり最も高い壁と言えますね。
筆記試験は以下のとおりです。
教養試験 | 一般知能分野 | 数的処理(数的推理・判断推理)、文章理解(現代文・英文・古文) |
一般知識分野 | 人文科学(世界史、日本史、地理、思想・文芸)、自然科学(数学、物理、化学、生物、地学)、社会科学(法律、経済、政治、社会)、時事など | |
専門試験 | 法律科目 | 憲法、民法、行政法、労働法、刑法など |
経済科目 | ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学など | |
行政科目 | 政治学、行政学、社会学など |
※スマホの場合は、左右にスクロールすることができます
教養試験のみ出題される試験であれば、対策すべき範囲が狭くなるため、学習すべき量が少なくなります。
自分が興味のある採用試験の試験情報を、必ず確認しましょう。
専門試験がある場合は、対策すべき学習量が一気に上がるため注意が必要です。
教養試験や専門試験については、下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
面接試験についても、目的別で実施方法が異なります。
それぞれで面接試験の対策方法が異なるため、どの種類が出題されるか確認しておきましょう。
採用人数
採用人数が少なければ、相対的に難易度は上がってしまいます。
倍率の求め方
- パターンA:倍率(4倍)=採用人数(5人)÷受験者数(20人)
- パターンB:倍率(2倍)=採用人数(10人)÷受験者数(20人)
パターンAとパターンBの受験者数は同じですが、採用人数が少ないと単純に倍率が増えてしまいます。
地方の小規模自治体などでは、採用人数が1名なんてことは珍しくありません。
採用人数が少なければ、難易度が上がるということを理解しておきましょう。
筆記試験の難易度
筆記試験の問題自体の難しさも、試験全体の難易度につながります。
例えば、高卒程度の問題と国家総合職の問題のレベル大きく異なります。
通常、数的処理の問題は1問3分以内で解けることが多いですが、国家総合職の問題は5分以上かかることも珍しくありません。
問題自体の難易度が高ければ、2次試験以降に進むことすらできないんですよね。
職種別の難易度は下記のとおりです。
職種 | 筆記試験の特徴 |
国家総合職(大卒・院卒) | 基礎能力試験では、難易度の高い数的処理の問題が出題される。解法パターンだけでは対応できない場合があり、その場で応用的な思考能力が求められる。 専門試験については、出題科目は少ないものの深く掘り下げている問題があり、対策に時間がかかる。 |
国家一般職(大卒) | 一般職は、総合職ほどでないものの、数的処理の問題は3分以上かかるものが多くある。 専門職や裁判所一般職では、専門記述が出題されるため記述による対策をする必要もある。 |
地方上級(県庁・政令指定都市) | 国家系の試験と比較すると、難易度は低くなります。予備校などでは、過去問を豊富にストックしているため、対策はしやすいと言える。 |
東京都Ⅰ類B・特別区Ⅰ類 | 行政系の公務員を目指すのであれば、特別区などの問題で7割前後取れるように目標を立てることが多い。問題も公開されているため入手しやすい。 特殊な問題も出題されるが、数的処理の問題では毎年のように似ている問題があるため、対策しやすい。 |
公安職・社会人経験枠・一般市役所 | 意地悪な問題が少なく、基本的な対策をしていれば解ける問題がほとんど。社会人経験枠の試験は幅広く、難易度が高いものもあるが、筆記試験さえ廃止している自治体もあるほど。 一般的な市役所も基本知識さえあれば十分に合格が可能。 |
高卒程度 | 中学で学習したレベルの問題が出題されることが多く、最も難易度が低い。 しかし、国家系などの試験の中には大卒試験と同レベルの内容を出題されるものもあるので注意が必要。 |
難易度はあくまで参考程度にしてください。
最も難しいのは「国家総合職」、最も簡単なのは「高卒程度」くらいの認識で大丈夫です。
周りの受験生のレベル
受験生のレベルが高ければ合格するボーダーラインは高くなってしまい、難易度が上がります。
国家総合職の試験には、東京大学や京都大学をはじめ国公立のレベルの高い受験生が集まります。
地方公務員の採用試験に合格するための対策をしている人が、国家総合職の採用試験に挑んでも太刀打ちできないでしょう。
ただ、受験生のレベルは毎年変わっていきます。
そのため、一概に「どの試験の受験生のレベルが高い」とは言えませんが、おおよそは決まっていますね。
公務員試験の難易度は、基本的に外的要因により決まってしまいます。
つまり、どれだけ心配したり悩んでも仕方ないのです。
難易度でなく「好きや興味」で仕事を選ぼう:例外あり
難易度については、多くの受験生が悩むことではありますが、気にする必要はありません。
なぜなら、自分の人生を決める選択を数字だけで判断すると、将来的に後悔してしまう可能性が高いからです。
例えば、料理好きなAさんと料理が嫌いなBさんが居たとします。
Aさんからすれば仕込みなどの地道な作業は楽しくて仕方ないですが、料理嫌いなBさんからすれば仕込み作業は地獄のように感じてしまうでしょう。
このように、興味の無いことや好きでないことは、ただの苦痛でしかありません。
公務員試験の難易度も同じです。
倍率などだけで志望先を選んで、採用されたとしてもその仕事内容が自分に合っていなければ、仕事自体が苦痛になってしまうでしょう。
実際に、難易度だけを志望先決定の判断基準に公務員になってしまい結局、自主退職してしまった受験生が一定数います。
これでは、時間を浪費するだけで自分の人生にプラスに働くことは少ないですよね。
後悔しない選択をしよう!
結局のところ、人間は興味のあることや好きなことしか持続させることはできません。
だからこそ、本当に公務員になりたいのであれば興味のあることを最優先に考えるべきです。
- 警察官になって交通事故を減らしたい
- 市役所の職員になって、市民に寄り添った仕事をしてみたい
- 国家総合職として、日本の中枢で働きたい
- 消防士として、火災現場から人を救いたい
理由はなんでも構いません。
志望先を「好き」や「興味がある」という理由で選ぶと、それだけ気持ちも入り、質の高い対策ができます。
難易度だけで選ぶのもアリ
公務員になるために難易度だけで選んでしまうのもアリです。
下記のような場合には、難易度の低い試験に挑戦しましょう。
- 何がなんでも公務員になりたい
- 職種にこだわりがない
- 早く安定したい
一言で言えば「公務員だったらなんでもいい」という人は、難易度だけで志望先を選んでも、難なく仕事を続けられます。
実際に僕の友人の中にも、難易度の低い試験を受験するという戦略で内定を勝ち取った人もいます。
難易度は非常に定義が曖昧なので、受験生は混乱してしまいます。実際に難易度は、人それぞれの捉え方や外的要因に大きく左右されてしまいます。
そのため、難易度に関しては深く理解する必要はなく「なんとなく」で十分です。
やはり、おすすめは本当になりたい職種を決めることでしょう。
公務員試験の対策方法
難易度などを一通り押さえれば、あとは対策を進めていくだけです。
細かい部分まで掘り下げてしまうと、時間がいくらあっても足りません。本章では軽い部分だけお伝えします。
具体的な対策については、下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
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対策は下記のとおりです。
- 志望先の試験情報を集める
- 大まかなスケジュールを立てる
- 対策の方向性を決める
- 科目ごとに対策を進める
志望先の情報を集める
闇雲に対策したところで、一生かかっても公務員になることはできません。
まずは、志望先の情報をしっかりと集めてから動き出すべきです。
最低限下記のポイントは押さえておきましょう。
- どのような職種があるのか
- 試験の内容(筆記・面接など)
- 日程
志望先によって知っておくべき内容が異なるため、試験の特徴などは必ず定期的にチェックしておきましょう。
大まかなスケジュールを立てる
スケジュールは筆記試験から逆算して立てていくと良いでしょう。
まず、ゼロから公務員試験に合格するためには約1,000時間〜1,500時間必要と言われています。
1日3時間勉強するとして、およそ1年間かかります。つまり半年から1年の長期間にわたって対策をしなければなりません。
無計画で対策を進めてしまうと、過不足なく対策することができません。
広範囲に及ぶ試験科目をカバーするためには、スケジュールを立てることが必須です。
最初からいきなり細かいスケジュールを立てることは難しく、挫折してしまいます。
まずは1ヶ月単位など大まかなスケジュールを立てましょう。
対策の方向性を決める
対策の中で最も大切なのが「方向性」です。
公務員試験対策には、大きく2つの方法があります。それが独学か予備校の活用です。
どちらの方法にもメリット・デメリットが存在しますが、リスクなどを考えれば断然予備校の活用がおすすめ。
なぜなら、予備校を活用することによって、内定獲得までの道のりを大幅に短くすることができるからです。
予備校などについては、下記の記事で詳しく解説しています。
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科目ごとの対策を進める
対策の方向性が決まれば、あとは科目ごとに対策を進めていくだけです。
まずは、筆記試験の対策から始まり、面接や体力試験。
志望先の試験によって対策すべきことは異なりますが、同時並行的に対策を進めていく必要があります。
公務員試験は、1次試験を突破すれば間髪入れず2次試験が始まります。
そのため、対策に区切りをつけず同時並行で対策していかないと、間に合いません。
大まかな対策方法は以上となります。
初学者からいきなり、対策を進めるのはハードルが高く腰が引けてしまいますよね。
そんな時は、積極的に予備校などの無料相談を活用しましょう。
予備校に入校するしないに関わらず、様々な相談に乗ってくれます。
まとめ:難易度は大まかに知っておこう
難易度は、志望先を決める際の判断材料の1つです。
しかし、難易度に振り回されてしまってはいけません。あくまで判断材料の1つに過ぎません。
大まかな難易度を知っておくことで、対策の濃度や時間が決まっていきます。
ただそれだけのこと。
記事の中でお伝えしたとおり、難易度で志望先を決めてはいけません。
必ず、自分が好きな仕事や興味のある仕事を志望先にするようにしてください。
公務員は試験が難しいだけでなく、内定をもらってからも非常に多種多様な仕事が待ち構えています。
日々レベルの高い仕事をこなしていくためには、本当に好きや興味がないと、業務を遂行することはできません。
受験生のあなたには、ぜひ難易度以外で志望先を決めてほしいと考えています。
余計なことは考えず、後悔のない志望先を決めていきましょう。