「地方公務員には年齢制限があるんですか?」
「自分が受験予定の試験に挑戦できるか不安です・・・」
こんな相談や疑問を受けることが多いので、今回は地方公務員の年齢制限について書いてみました!
僕自身、地方公務員歴10年で数々の公務員試験を受け、何度も年齢の壁と戦ってきた経験を持っています。
- 年齢制限があるあるから、不安で勉強に集中できない・・・
- 年齢制限を勘違いして受験できなかった・・・
こんな失敗をしないためにも、地方公務員の年齢制限について知識を深めていきましょう!
ちなみに、国家公務員も含めた年齢制限について、解説している記事はこちらになります。興味のある方はどうぞ!
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目次
地方公務員試験に年齢制限がある!
結論から言うと、地方公務員には年齢制限が設けられており、年齢が制限を超えている場合は受験することはできません。
多くの自治体では30歳を上限年齢にしていることが多いですね。
実は、雇用対策法の改定により2007年10月から労働者の募集・採用における年齢制限の禁止が義務化されてるんです。
そのため、民間企業などでは就職や転職をする際の「年齢」による縛りは無くなりました。
しかし、公務員試験には年齢制限が存在しています。
多くの自治体で30歳が年齢上限として設けられていますが、近年では「社会人採用」や「経験者採用」と言われている区分が新たに設けられています。
自治体によっては、年齢制限が40歳程度から59歳までと非常に年齢幅が広くなっています。
注意点
年齢制限には注意点があります。
それが、年齢制限は受験時ではなく「採用される時点での年齢」が基準とされる点です。
例えば、試験要綱(※)には「○○歳〜◇◇歳までの方」と言うような曖昧(あいまい)な記載はされていません。
必ず、「平成〇〇年4月2日〜平成◇◇年4月1日生まれの方」と詳細に記載されています。
仮に採用時に年齢を超えていると、受験することができないので注意が必要。
ほとんどの自治体が採用時の年齢を基準にしているため、必ず確認してから試験に申し込みするようにしましょう。
(※)用語解説
要綱とは、試験の内容を全てまとめたもの。受験者は必ず調べることになる。
多くは表になっており、全ての情報が記載されている。
全国の自治体の年齢制限一覧
全ての自治体の年齢を上げると膨大になるため、代表的な都市や政令指定都市などの年齢上限を一覧表にまとめています。
参考にしてください。
情報は2022年度の情報になります。
北海道地方
自治体名 | 職種名 | 年齢制限 |
北海道 | 一般行政A (第1回) | H4.4.2~H13.4.1 |
教育行政A (第1回) | ||
警察行政A (第1回) | ||
一般行政C (経験不問枠) | S45.4.2~S61.4.1 | |
教育行政C (経験不問枠) | ||
公立小中学校事務C (経験不問枠) |
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東北地方
自治体名 | 職種名 | 年齢制限 |
青森県 | 行政 | H2.4.2~H13.4.1 |
警察行政 | ||
岩手県 | Ⅰ種・一般行政A | S62.4.2~H13.4.1 |
Ⅱ種・一般事務 | S62.4.2~H15.4.1 | |
Ⅱ種・警察事務 | ||
宮城県 | 行政 | S62.4.2~H13.4.1 |
秋田県 | 行政A | S63.4.2~H13.4.1 |
行政B | ||
教育行政A | S58.4.2~H13.4.1 | |
教育行政A | ||
福島県 | 行政事務 | S62.4.2~H13.4.1 |
警察事務 | ||
山形県 | 行政 | S58.4.2~H13.4.1 |
警察行政 |
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関東地方
自治体名 | 職種名 | 年齢制限 |
茨城県 | 事務(知事部局等) | H5.4.2~H13.4.1 |
事務(警察本部) | ||
栃木県 | 行政(特別枠) | H5.4.2~H13.4.1 |
行政 | ||
警察行政 | H2.4.2~H13.4.1 | |
小中学校事務 | ||
群馬県 | 行政事務A | H5.4.2~H13.4.1 |
埼玉県 | 一般行政 | H4.4.2~H13.4.1 |
小・中学校事務 | ||
警察事務 | ||
千葉県 | 一般行政A | H4.4.2~H13.4.1 |
一般行政B | S62.4.2~H10.4.1 | |
東京都 | Ⅰ類A(事務) | H5.4.2~H13.4.1 |
Ⅰ類B (行政)(一般方式) | ||
Ⅰ類B(行政)(新方式) | ||
警視庁警察行政Ⅰ類(事務) | ||
神奈川県 | Ⅰ種・行政 | H4.4.2~H13.4.1 |
小中学校事務Ⅰ種 | ||
警察事務Ⅰ種 | ||
Ⅰ種・行政(秋季チャレンジ) |
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中部地方
自治体名 | 職種名 | 年齢制限 |
山梨県 | 行政Ⅰ | S62.4.2~H13.4.1 |
行政Ⅱ | ||
警察行政 | ||
新潟県 | 一般行政 | H4.4.2~H13.4.1 |
警察行政 | ||
長野県 | 行政B(SPI方式) | S62.4.2~H13.4.1 |
警察行政職員(行政) | ||
行政A(一般方式) | ||
富山県 | 総合行政 | S62.4.2~H13.4.1 |
総合行政(デジタル) | ||
警察事務 | ||
石川県 | 行政 | H5.4.2~H13.4.1 |
福井県 | 行政 | S63.4.2~H13.4.1 |
行政(アピール枠) | ||
警察行政 | ||
静岡県 | 行政Ⅰ | H4.4.2~H13.4.1 |
行政Ⅱ | S62.4.2~H13.4.1 | |
小中学校事務 | H4.4.2~H13.4.1 | |
警察行政 | ||
行政 (静岡がんセンター事務) | S62.4.2~H13.4.1 | |
岐阜県 | 行政Ⅱ | S58.4.2~H13.4.1 |
行政Ⅰ | H5.4.2~H13.4.1 | |
警察行政 | ||
市町村立小中学校等事務 | ||
愛知県 | 行政Ⅰ | H5.4.2~H13.4.1 |
行政Ⅱ | ||
行政Ⅰ(警察職員) | ||
行政Ⅱ(警察職員) |
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関西地方
自治体名 | 職種名 | 年齢制限 |
三重県 | 行政Ⅰ | H5.4.2~H13.4.1 |
行政Ⅱ | H2.4.2~H13.4.1 | |
滋賀県 | 行政(専門試験型) | S63.4.2~H13.4.1 |
行政(アピール試験型) | H8.4.2~H13.4.1 | |
警察事務 | S63.4.2~H13.4.1 | |
京都府 | 行政ⅠA | H4.4.2~H13.4.1 |
行政ⅠB | ||
行政ⅠA(10月採用) | H3.4.2~H12.4.1 | |
学校事務A | H8.4.2~ | |
警察事務A | ||
大阪府 | 行政 | H9.4.2~H13.4.1 |
警察行政 | H5.4.2~H13.4.1 | |
兵庫県 | 一般事務 | H7.4.2~H13.4.1 |
警察事務 | ||
教育事務 | ||
小中学校事務 | ||
奈良県 | 行政A | H5.4.2~H13.4.1 |
行政B | ||
警察行政 | ||
和歌山県 | 一般行政(通常枠) | S62.4.2~H13.4.1 |
一般行政(特別枠) | ||
警察事務 |
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中国地方
自治体名 | 職種名 | 年齢制限 |
鳥取県 | 事務(キャリア総合コース) | S62.4.2~H13.4.1 |
事務(一般コース) | ||
事務(総合分野コース) | ||
警察行政 | ||
島根県 | 行政B(面接重視型) | H5.4.2~H13.4.1 |
行政 | H5.4.2~H13.4.1 | |
警察事務 | H2.4.2~H13.4.1 | |
岡山県 | 行政(アピール型) | H8.4.2~H13.4.1 |
行政 | H4.4.2~H13.4.1 | |
警察行政 | ||
広島県 | 行政(一般事務A) | H5.4.2~H13.4.1 |
行政(一般事務B) | H8.4.2~H13.4.1 | |
行政(小中学校事務) | H5.4.2~H13.4.1 | |
行政(警察事務) | ||
山口県 | 行政(チャレンジ型) | H5.4.2~H13.4.1 |
行政 | H5.4.2~H13.4.1 | |
警察行政 |
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四国地方
自治体名 | 職種名 | 年齢制限 |
徳島県 | 行政事務 | S6.4.2~H13.4.1 |
学校事務 | ||
警察事務 | ||
香川県 | 一般行政事務A | H5.4.2~H13.4.1 |
一般行政事務B | H9.4.2~H13.4.1 | |
学校事務 | H5.4.2~H13.4.1 | |
警察行政事務 | ||
愛媛県 | 行政事務A | S63.4.2~H13.4.1 |
行政事務B | H7.4.2~H13.4.1 | |
学校事務 | S63.4.2~H13.4.1 | |
警察事務 | ||
警察事務(情報) | ||
高知県 | 行政 | H5.4.2~H13.4.1 |
警察事務 | ||
学校事務 |
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九州・沖縄地方
自治体名 | 職種名 | 年齢制限 |
福岡県 | Ⅰ類・行政(定期採用) | H5.4.2~H13.4.1 |
Ⅰ類・教育行政(定期採用) | ||
Ⅰ類・警察行政(定期採用) | ||
Ⅰ類・行政(早期採用) ※10月採用 | H4.4.2~H12.4.1 | |
佐賀県 | 行政(特別枠) | H9.4.2~H13.4.1 |
教育行政(特別枠) | ||
行政(スポーツ特別枠) | H5.4.2~H13.4.1 | |
教育行政(スポーツ特別枠) | ||
行政(障害者対象第1回) | S62.4.2~H13.4.1 ※住所要件あり | |
教育行政(障害者対象第1回) | ||
警察行政(障害者対象第1回) | ||
行政 | H5.4.2~H13.4.1 | |
教育行政 | ||
警察事務 | ||
長崎県 | 行政B(SPI方式) | H5.4.2~H13.4.1 |
行政A(一般方式) | H5.4.2~H13.4.1 | |
教育事務 | ||
警察事務 | ||
行政(海外活動等経験者) | S38.4.2~ | |
熊本県 | 行政 | S62.4.2~H13.4.1 |
警察行政 | ||
教育行政 | ||
大分県 | 行政(特別枠) | H9.4.2~H13.4.1 |
行政 | H5.4.2~H13.4.1 | |
教育事務 | ||
警察事務 | ||
宮崎県 | 一般行政特別枠 | H5.4.2~H13.4.1 |
一般行政 | H5.4.2~H13.4.1 | |
警察事務 | ||
鹿児島県 | 行政(特別枠) | H9.4.2~H13.4.1 |
行政 | H5.4.2~H13.4.1 | |
警察事務 | ||
沖縄県 | 行政 | S62.4.2~H13.4.1 |
病院事務 | ||
警察事務 |
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地方自治体の情報をもとに一覧表にまとめていますが、必ず自分で調べるようにしましょう。
そもそも年齢制限がある理由はなに?
実のところ民間企業の採用試験では、雇用対策法10条(※1)により一定の例外を除いて年齢制限を設けることが禁止されています。
例えば、採用条件を「年齢不問」にするだけでなく、書類選考や面接などでも年齢による不利な扱いは禁止されてるんですよね。
では、なぜ地方公務員試験では年齢制限があるのか?
実は、公務員は雇用対策法10条の適用外とされています。(雇用対策法38条の2項)※2
(※1)用語解説
事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
(※2)用語解説
第六条から第九条まで、第六章(第二十七条を除く。)、第七章、第三十条の四から第三十条の八まで、第三十三条第一項(第九章の規定の施行に関するものに限る。)及び第二項並びに第三十六条第一項の規定は国家公務員及び地方公務員について、第三十条の二及び第三十条の三の規定は一般職の国家公務員(行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第二号の職員を除く。)、裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の適用を受ける裁判所職員、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)第一条に規定する国会職員及び自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第五項に規定する隊員については、適用しない。
年齢制限がある理由:(法律で定められている)
公務員は民間企業と異なり、様々な法律知識や専門知識を深く身につける必要があります。
そのためには、一定の年数が必要なんですよね。
例えば、
- 消防士:消防学校に半年間入校
- 警察官:半年〜1年間、警察学校に入校
- 労働基準監督官は1年の研修期間
- 家庭裁判所調査官は2年の研修期間
の期間が必要です。
また、地方公務員は定期的な異動があり、その都度引き継ぎをしながら業務の継続性を維持せねばならず、そこには一定の経験年数が自ずと重要になってきますよね。
こうなると、高年齢での採用はリスクがつきまといます。
さらに、警察官や消防士の場合には国民を危険から守る必要があるため、自ずと採用時点での年齢は低めに設定されることになります。
ちなみに公務員の年齢制限を設けることは、裁判所でも合憲と判断されています。
年齢制限以外の制限
実は、年齢制限以外にも注意しておくべきことがあります。
代表的なものでは下記の4つですね。
- 欠格事項
- 学歴要件
- 資格要件
- 身体要件
順番に解説していきますね。
欠格事項
各地方自治体には「該当する場合は地方公務員試験を受験することができないよ」と言う規定があります。
以下の3点は、地方公務員に限らず国家公務員にも適用されている事項になりますね。
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者又はその刑の執行猶予の期間中の者その他その執行を受けることがなくなるまでの者
- 国家公務員一般職として/〇〇県(市区町村)職員として懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
- 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
上記に該当する人は、いかなる理由があろうと受験することができません。
また、外国籍の人も受験できないなど各地方自治体で欠格事項が定められています。
学歴要件
地方公務員試験は年齢制限などクリアすれば、学歴に関係なく受験することができるのが一般的。
なぜなら「大卒程度」「高卒程度」といった記載は、大学卒業などが必要ではありません。
実は、難易度を表す用語であるため同程度の実力があれば、誰での受験することが可能です。
しかし、自治体によっては「大卒程度」ではなく「大学卒業者区分」など学歴を指定している場合があります。
この場合は、大学を卒業していなければ受験することができません。
資格要件
地方公務員の試験では、ほとんどの場合で資格は必要ありません。
また資格を保有しているからと言って加点などもないんですよね。
ただ、専門職などは別。
例えば、福祉職区分を受験する場合は社会福祉士資格や社会福祉主事任用資格が必要とされます。
このように専門職を受験する場合は、自治体側から保有資格が求められるので注意してください。
身体要件
警察官や消防士には身体要件が課されています。
例えば警視庁警察官採用試験では、
- 男子の身長:160cm以上
- 女子の身長:154cm以上
- 裸眼視力:0.6以上
- 矯正視力:両目で1.0以上
など。
この数値を満たさなけば、試験を受験することはできません。
年齢制限を気にするのは今日でおしまい
この記事を読んでくれているあなたは、少なくとも年齢制限が気になってこの記事に辿り着いたはず。
公務員試験道場には、
「年齢制限が来年までなので合格できるか心配」
「歳下の受験生に負けるかもしれない」
こんな悩みや相談が日々寄せられています。
その度に伝えるのは「考えても仕方ないので、できることをやりましょう!」です。
雑だな〜と思われるかもしれませんが・・・だってそうじゃないですか?
年齢とは不変のものです。
あなたがどれだけ願おうと1歳若返るなんてことはありません。
また、採用してもらう自治体に「年齢制限を引き上げてください!」と頼んで、自治体が変えてくれるでしょうか?
答えはNOのはず。
と言うことは、あなたが年齢についてどれだけ足掻(あが)いても、それだけ悩んでもどうしようもできないんですよね。
つまり、気にするなと言うことです。
そんなことより「自分には何ができるのか」を考えた方がよっぽど建設的です。
もう年齢で悩むのは今日限りにしましょう。
まとめ
地方公務員の試験には残念ながら、年齢制限が設けられています。
多くの場合は30歳前後。
年齢について不安を感じる受験生も多いかもしれませんが、それも今日でおしまいにしましょう。
そもそも年齢制限は法律で認められており、自分ではどうすることもできません。
しかし、時代は様々なバックグラウンドを持つ受験生を求めています。
その証拠として、各地で年齢制限の引き上げや社会人経験者枠の新設など、大きな変換が起こっています。
まずは、冷静に自分の年齢を見つめ自分のできることを着実に積み上げていきましょう!
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